グーグルのクラウドゲーム「Stadia」について、いまわかっていることすべて

 Google Stadiaの料金体系やローンチタイトルが発表になった。印象は、まあ普通、といったところ。

 コア層は既存プラットフォームに留まりつつ様子見、興味本位でちょっとやってみる程度になる気がするので、当面はライト層の取り合いになると思う。そのライト層に対してはスマホゲームや動画サービスとの時間の取り合いになるので、彼らをどこまで振り向かせることが出来るかがポイントとなる。基本無料文化に慣れきった彼らが果たして課金してくれるのかどうか。

 自分はコアとライトの中間くらいの層と思っているが、正直なところ、いまのStadiaの内容では、このサービス単体としては課金したくないなーというのが感想。YouTubeの有料プランや他Google各種サービスの有料オプションをすべて統合して、「全部乗せ」で利用できる課金体系にしたほうが個別サービスにお金出してる感が薄まって良いような気がするな。AmazonプライムやYahoo!プレミアムのような感じで「Googleプレミアム」みたいな。

 今後は映像サービスのように独占タイトルの出し合いになっていくのかも知れないので、まあそのあたりで良作が出てくるかどうかがポイントか。
 いずれにせよ日本ではまだ提供されないので、しばらくは海の向こうの戦況を傍観するしかない。

 いっぽうの既存勢力のひとつ、Microsoftは、次世代Xboxの発表を行った。

次世代Xbox『Scarlett』発表。2020年冬にHalo新作と同時発売

 PS5はまだ噂でしかないが、次世代Xboxと似たようなスペックになると思われる。

 Googleとしては、2019年、2020年の次世代Xbox発売開始までに、どこまで食い込めるかが勝負だね。
 孫さんみたいに、最初はキャンペーンでコントローラを無料配布しちゃうとか、利用料も暫く無料にしちゃうとか、大出血サービスによる爆発的普及を狙うのが吉と思うのだが、現在だとどうしても回線帯域不足によるラグとかパフォーマンス低下は避けられず、「使えねえ」評価が出回ってしまうと逆噴射になってしまいかねず、難しい舵取りになりそう。

参考記事1:(Sony – SIE) × Microsoft = ??
参考記事2:Sony × Microsoft =?
参考記事3:Google Stadia:黒船襲来。ついにゲームの分野もGoogleロックオン

「ソニーとMicrosoft、クラウドゲームやAIソリューションで戦略的提携」の話、やっぱりPlayStation部門を飛び越えて話が進んでいたようだ。

両社は先週、ゲームストリーミング技術の共同開発や、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「アジュール」を活用したプレイステーションの一部オンラインサービス提供などの戦略的提携に向けた意向確認書を締結したと発表。プレイステーション部門は独自のクラウドゲーム開発に7年を費やしてきたが、部分的な成功にとどまっている。

 

事情に詳しい関係者によれば、マイクロソフトとの交渉は昨年始まり、ソニーの東京在勤の上級幹部が直接対応、プレイステーション部門はほとんど関与しなかった。このため、今回の発表は同部門スタッフには寝耳に水だったという。こうしたスタッフを管理職は落ち着かせ、ソニーの次世代コンソールの計画に影響はないと念押ししなければならなかったと、関係者が匿名を条件に語った。

 

プレイステーション部門に衝撃-ソニーがマイクロソフトと協業模索 (2019-05-20 Bloomberg)

 溝が深そうだなあ。GoogleやAmazonと張り合うにはおそらくコレしか道がなく仕方がないとは言え、Xboxと正面から戦い、そして現状では有利に事を進めていただけに、ショックだろうね。
 しかしクラウドゲーミングは10年20年に1度レベルのパラダイムシフトなので、過去の成功体験に拘りすぎるのはまさにガラケーの二の舞まっしぐらであり、良くない。
 最近は任天堂に肩入れしている自分ではあるが、もともとはソニ男気質であり株主の端くれでもあるので、発想を転換する好機と捉えて頑張って頂きたい。

参考記事1:Sony × Microsoft =?
参考記事2:Google Stadia:黒船襲来。ついにゲームの分野もGoogleロックオン

 クラウドゲーミング絡みで、現メジャープレイヤー同士が接近。

ソニーとMicrosoftは17日、ゲームやコンテンツのストリーミングサービスのMicrosoft Azure利用など、DTC(Direct to Consumer)のエンタテインメントプラットフォームやAIソリューション領域において、新たな顧客体験を開発するためのパートナーシップを発表した。

 

各社のゲームやコンテンツのストリーミングサービスを目的とした、将来のクラウドソリューションをMicrosoft Azureを活用して共同開発することを検討。また、ソニーのゲームやコンテンツのストリーミングサービスに、現在のAzureのデータセンターベースのソリューションの利用も検討していく。協業により、両社はそれぞれの世界中のユーザーに、より充実したエンタテインメント体験を提供し、コンテンツ制作者コミュニティに向けて、より良い開発プラットフォームの提供を目指すという。

 

また、半導体とAIの分野での協業も検討。半導体においては、新しいインテリジェントイメージセンサーの共同開発の可能性を探っていく。ソニーのイメージセンサーとマイクロソフトのAzure AIテクノロジーをクラウドとエッジを跨いでハイブリッドに統合し、より強力で便利なサービスを法人向けに提供する。

 

AIに関しては、マイクロソフトのAIプラットフォームとツールをソニーのコンシューマー向け製品での採用を検討する。

 

ソニーとMicrosoft、クラウドゲームやAIソリューションで戦略的提携 (2019-5-17 Impress Watch)

 先日発表のあった「Google Stadia」対抗策が具体化してきたわけだが、SonyとMicrosoftをざっくり比べると、コンシューマ向けゲームプラットフォームとしてはSony(PS4)が現状優勢、クラウドサービスでは実質Azure一択であるので、相互補完関係としては悪くないと思った。

 Sony側から見ると、本来クラウド化するならば有力な提携先であったGoogleに独自戦略で出し抜かれた以上、そしてかつ自前でクラウドプラットフォームを構築or調達する気がないのであれば、Googleと並び立つもう一方の巨大クラウドプラットフォーマーであるMicrosoftと組むのはある意味必然とも言える。

 いっぽうMicrosoft側から見た場合は、自社クラウドサービスの顧客が増える以上のメリットはそんなにない気もするが、本当はXboxゲーム事業を自前で維持していくモチベーションが低下したけど単純に撤退するわけにも行かないので、将来のゲーム事業展開オプションを増やす事に意味を見いだしたのかも知れない。

 この提携が上手く行くかどうかで気になる点としては、Sony側においてPS4事業を持っているSIEの影が、この話のなかであまり見えてこないあたり、SIEの現状に業を煮やした親会社が頭ごなしに動いている構図に見えなくもないところ。ゲーム事業をエンジンのひとつに据えてSonyを復活させた平井社長退任後の揺り戻し表面化なのか、親会社によるSIE冷遇からのSonyグループ内抗争みたいな悪癖が活性化しなければいいのだが。Xperiaの二の舞は避けてほしいところ。

 任天堂の動向は、本格的なクラウドゲーミング時代の到来にまだ数年猶予があるため、その間はクラウド覇権争いを静観して、従来型モデルでIPの更なる充実を図りつつ、そのうち5G通信機能付きSwitch後継機種を出す算段か。
 モバイルにも据置にもなれてJoy-Conが使えて任天堂のIPが動くハードを売ることさえ出来れば、GoogleやMicrosoftのクラウドサービスが相乗りしても問題ないわけで、Switch的なコンソールにクラウド・非クラウド問わず全ゲームプラットフォームが乗っかる未来を描いていそうな気がする。その場合ライバルはスマホやタブレットになるわけだが、Joy-Conの強みがポイントになってくる。
 誰かが言った「SwitchはJoy-Conが本体」とは良く言ったものだと思うことしきりだが、Google,Microsoft,Sonyがフロントエンドデバイスの取り合いに興味がないはずがないし、革新的UIの騎手であるAppleのような乱入プレイヤーもいるので、どうなるか。

 いち消費者としては、時代の変わり目に立ち会いつつ技術革新のメリットを享受できる、良い時代ですわ。

参考記事:Google Stadia:黒船襲来。ついにゲームの分野もGoogleロックオン

[YouTube] Google Stadia announced at GDC 2019

 すごい!未来!革命!とか一部のアーリーな界隈で盛り上がっている表題の件に関する雑感。

 そもそもゲームのクラウドストリーミング化はSonyやMicrosoftをはじめとする既存プレイヤーが既に試行錯誤しているわけだが、Chromeブラウザとコントローラーさえあれば場所や機種問わずOK、YouTube連動、とんでもない資金力による無限のクラウドパワーということで、業界のみならず多くの人がゲームチェンジャーとして震撼し期待するのも分かる。

 SonyがE3撤退したのも、やっぱりこれが遠因なのかね。確かにインパクトで言えばPS5を発表したとしても埋もれてただろうな。

 発表デモではDOOMが使われていた。ということはBethesdaは既にStadiaに取り組んでいるということか。Bethesda.netはどうするのか、今後新作がStadiaでも同時ローンチされるのか、はたまた2019年になってもSkyrimでズコーとなるのかなど、くされBethesdaファンとしては興味津々である。

 いずれにせよ近い将来このサービスが受け入れられることによって、ゲームの嗜好やゲーム内での行動までGoogle様に握られて広告配信パターンに組み込まれるわけだ。ゲーム内広告を動的に表示したり、ゲームの展開自体を個人の嗜好に合わせて変えるなんて芸当もゆくゆくは可能になるだろう。

 必ず批判ネタになる遅延問題についてはいつの間にか技術が解決しているだろうからあくまで2019年の懸念事項に過ぎないが、価格については現時点では未発表なので、サブスクリプション型になるのか、フリーミアム型になるのか、コンテンツ単位になるのか、どうなるか興味深い。
 PCやスマートフォンを中心に基本プレイ無料ゲームが席巻している現在、価格設定をミスるとコケる可能性もあり、コケたら割とあっさり撤退するのがGoogle様なので、今後数年の展開は目が離せない。

 YouTubeとの親和性については、色々と便利で楽しいこともありそうな反面、泡沫動画が溢れている現状に更に拍車がかかるのだろう。今や他人のプレイ動画を観て楽しみ、自身はプレイしないなんて人もいるらしいので、これも時代だね。

 何はともあれ、既存プラットフォーマーであるSony、Microsoft、任天堂の動向はもとより、Apple、Amazon、Netflixの動向、各ゲームソフト開発会社の動向にも、がぜん注目度が高まってきた。
 個人的に一番気になるのはTencentの動向だな。Googleに安易に乗っかるとも思えないし、自前でクラウドサービス立ち上げるまであるのかどうか。nVidiaあたりと組むのかな?

 Microsoftはガチンコ勝負だろうな。任天堂は独自IPの強みがあるので暫く様子見しつつ自身にとって一番都合の良いところと組むタイミングを見計らっている感じに見える。GoogleとMicrosoftが互いに全力で殴り合いつつ、+αとして任天堂を取り合う構図か。モジモジしすぎてどちらからも敵認定されるとかもありそうなので目が離せない。両方から貢がせるだけ貢がせる売れっ子としてぜひ頑張って頂きたい。
 心配なのはSonyだな。株主の端くれとしてはベタ降りだけは勘弁してほしいところではあるが、いくらなんでもPS4を引っ張りすぎな気がするし、クラウドもあまり得意じゃないからねえ。膝を打つような一手を期待したいが。

 株主の端くれでもあり、アフィリエイトもちまちまと貼ってのチラ裏ポジショントーク。

 まずは「ニンテンドーラボ」発表時の感想。

 「ニンテンドーラボ」は任天堂が開発・発売した携帯&据置の両用ゲーム機「スイッチ」と組み合わせて、知育玩具として遊ぶことのできる商品である。

 ここから長めの前置きを。
 そもそもスイッチについて、最初に発表されたときには、正直なところさほど興味は持っていなかった。
 任天堂のゲームハードは遠い昔、小学生の頃にファミコンにハマったきり、それ以降はWiiや3DSも含めてたまに他人の計らいで遊ぶことはあっても買ったりハマったりすることはなかった。

 心変わりして、やってみようと思ったのは「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」が発売され、海外のメタスコア高得点(リンク先音が出ます注意)を叩きだしたことが報じられてからである。

 年代的に、ウィザードリィウルティマといったところからゲームが好きになった経緯があるせいか、その後もどちらかと言えば海外ゲームのほうがしっくり楽しめる性分である。そのような嗜好ゆえに、海外のゲーム業界における評価については感覚が合っているような気がしている。
 その海外評価のスタンダードであるメタスコアで歴代でもトップレベルの高得点を獲得したのみならず、日本のAmazon商品コメントにも、数々のゲームマニア達による、単なるゲーム評価コメントとは思えないような言いようのない衝撃とか感動を綴ったものが散見された。

 これはやってみる選択肢しかないな、ということで、スイッチ本体の売り切れ続出で入手困難であるなか、転売から買うことを何とか回避し、任天堂ネット直売でハード・ソフトともども入手して、遊んでみたわけである。

 はたして、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は申し分のない出来映えであった。
 このゲームの評価については既に様々な媒体で様々なものが出ており、ここでは細かく言及しないが、大雑把に短く言えば、オープンワールドという現代ゲームの潮流のひとつをこんなにも上手く料理しつつ、それでいてリアリティ至上主義ではない「ザ・任天堂のゲーム」という「らしさ」を見事に融合している、というところだろう。

 そんななか、スプラトゥーン2やマリオオデッセイなどの大作が次々と発売されつつ、時は過ぎて、ニンテンドーラボの発表があった。

 発表動画を観て、軽く衝撃を受けた。それが記事冒頭に引用した自己ツイートである。
 これは売れるし、色々な可能性が広がる予感しかしなかった。

 そしていま、ニンテンドーラボの発売後、発表のとき想像したとおりに、かつ、おそらくは任天堂の思惑通りに状況が推移しつつある。

 何がすごいかを、列挙してみる。

・極力「大人が介入」せずに子供が「作り始める」ことのできる導入の気遣い

・その結果、子供が「自分で作ることが出来た」喜びを体験できる。親をはじめ周りの大人達もその感動を共有する

・子供達が大好きで、かつ主たる活動でもある「遊び」から「論理的な思考」「プログラミング的な思考」の一端を学ばせることができる。まさに現代の潮流の王道、直球ど真ん中の知育玩具である

・作ってみたものをSNSで見せる行為を通じて、共感の輪が拡がったり、「それなら自分はこうしてみよう」といった気づきや閃きの拡がり、共鳴のような事象が起きる(事象を起こす)

 Twitterにおける #NintendoLabo#ニンテンドーラボ には全世界で「作ってみた」動画や画像が流れてくる。

 「作る」「遊ぶ」「学ぶ」「見せる」そして「自分で独自に改造する」といったおよそ知育に必要な基本要素を全て兼ね備えたうえに、SNS時代に完璧にマッチした「動き」や「見た目」で楽しめるという要素までも持ち、主な原材料は子供が遊ぶのにも大量生産にも適したダンボールである。

 そして、さらに驚いたのはこれである。


 まさにこれこそ任天堂「らしさ」だろう。神は細部にもしっかりと宿っている。

 当然ながら、モチベーションを継続する仕掛けも用意されている。


 いずれ日本や他の国でもこうした関連イベントが頻繁に行われるだろう。

 今後、第二弾、第三弾というふうに視点の違った応用商品を打ち出してくることも予想できる。

 冒頭の「ゼルダ」は書いたとおり素晴らしいゲームである。
 しかしその素晴らしさはあくまで従来型の「ゲーム機で遊ぶゲームソフトウェア」としての素晴らしさである。

 ニンテンドーラボによって、スイッチはもう従来型の単なるゲーム機ではなく、ゲーム機にもなる別の「何か」というべきものになった。

 任天堂の底力をまざまざに見せつけられたというほかない。