経済産業省の若手ってこんなことを考えていたのか

投稿者: | 2017年6月9日

 いまネットで話題になってる「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」とその反応について。

 さすが受験戦争を勝ち抜いてきた官僚の皆さん、スライドの絵面、字面を整えるのは上手いよね。経済産業省としてこれを公表したことにも、意欲は感じられる。
 ただ、内容については・・・いろんな人達が既にネットで意見や感想を述べられているように「まだこの段階の話をしていたのか」がまず浮かんだ率直な感想。

 自分の想像としては、こんなことはとっくに各種統計データが分析され、議論もされて、この資料で述べているような総括もされて、今日のような社会の姿になってしまったのは何が問題だったのか、じゃあ問題を解決するためにこれから具体的にどうするかっていうことまで考えられているんだけど、色々な組織や過去のしがらみで提起しきれない、政治の壁で実行できないでいる、っていうのだったんだけどなあ。
 せっかく勉強してきたアタマを使って「2度目の見逃し三振はもう許されない」ドヤァ上手いこと言ったよね!とかやってると思うと、ちょっと寒いね。今年の夏は猛暑らしいけど。

 最初に述べたように経済産業省としてこれを出すって決めた時点で、色々批判を浴びることは覚悟の上でやっているのだろうから、このあとどうするかだよね。せっかくネットでも色々な意見・批判や罵詈雑言が出てきたのだから、それを吸い上げ取捨選択しつつ、自分たちの認識が遅れていたり間違っていたところは改めて、具体的解決策立案のほうに早く移行してほしいよね。

 ただ官僚は失敗ができない、失敗と認められないという組織的問題があるので、大きな戦略・戦術の変更はなく、ほふく前進継続なんだろうな。オレは貴方たちの作ったスライドでは「昭和の人生すごろく」をやってることになっている1970年代生まれでアタマは良くないけど、出る杭にはなったぞ。それなりに打たれたけど。経産省の若手の皆さんこそ、もっと出る杭になってほしい!何やったって批判する奴はいる。貴方たちは人気投票の結果でクビにされたりするわけではないのだから、正しいと思うことをどんどん進めてみて、上手くいかなきゃ何が間違っていたのかを切れるアタマで徹底分析し、修正すりゃいいじゃん。大事なことはサイクルの回転を速くすることだと思うね。

以下、反応の拾い読み。

「時代遅れのエリートが作ったゴミ」発言者に訊く!若手経産官僚のペーパーに感じた違和感とは。
#大上段から唐竹割りですわ。仰るように国や行政に箸の上げ下げまで心配されなくても良いわ!とは思うけど、それは自分が箸の上げ下げくらいは出来てるから言えることでもある。ステレオタイプに言うと、小さな政府で自由主義ってことになっちゃうのだろうけど。

経済産業省の次官・若手レポートとその反応を読んだ勢いで書いた雑文
#「これってMETIに限らず、役所が問題提起しちゃ、本当はダメな内容ですよね?では誰か。それは「政治」です。」そうですね。行政が自ら判断して実行に移したら暴走になってしまうのは理解します。過去はそれで戦争になったようなものだしね。だけど、問題提起とか「オレ達はこんな解決策を考えたぞ!」っていうところまでは、逆にどんどん公表して、政治家に理解させ議論させ判断させる材料は増やしたほうが良いと思うのですよね。問題提起や政策・施策の立案は政治の役割であって、行政はあくまで実行部隊である、という建前は分かるけども、じっさいはそうなっていないじゃない?建前の保持を頑張りつつ裏で官僚が国民に知られないようにひっそりと誘導したり骨抜きにしたり一部の政治家とつるんだり、っていうより、政治家と官僚が公の場でガンガン議論しつつ、SNSなどで有識者(国民)がガンガン横やりを入れつつってのが21世紀的で良いような気がするのですがね。

経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答
#「力ある者が真面目な気持ちで危機を煽るとき、力なき者は自分の立っている地平を見失ってはならない」イヤほんとにそうですね。経産省スライドで書かれている「どんな人生の最期を迎えたいですか?」という問いかけは「あ、もしかして経済発展に寄与するようなことしてないけど社会保障にはガッツリただ乗りを続けようと思ってます?」に聞こえてきて、経産省の若手がそんなこと言い出してるのが、ちょっとコワくなってきたぞ。

経産省「次官・若手ペーパー」に対するある一つの「擬似的な批判」をめぐって
#最初に引用した渡瀬裕哉氏の記事を読んで「その通り!」と全面同意した方は、こっちも是非読むべき。掘り下げてます。

経産省若手官僚レポートは、ズルい 霞が関ポエムに踊らされてはいけない
#こちらもがっつり踏み込んでの、酷評です。「何が間違っていたのかを論じないまま、社会の問題を断じるのは卑怯である」これにつきるな。本当にアタマの良い奴の特徴は、謙虚で、自分の間違いを客観的かつ速やかに認めてどうすべきであったかを理解するですよ。

選択肢を理解する――経産省、若手・次官プロジェクト資料について
#だんだん話がアカデミックになってきた。社会学の見地からの論考。「おそらくこの資料に対する最初の賞賛的な反応の理由は、「AではなくB」という主張が明確に打ち出されたことにあったのだと思う」この点は仰る通りで、議論の入り口としてアリな資料だとは思いますね。だからこそ「Bと言うのであればそれを実現するための具体的な施策案をどんどん出して」と言いたい。それこそ社会への影響がどうなのか、実効性があるのかどうか、については有識者や専門家がまたそれを読んであーだこーだ言えばいいわけだし。

鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3)
#アカデミックでかつ、テクニカルになってきた。もうAとB-1~B-4の境界線の認識も混乱してきた。ただひとつ思ったのはB-1にある「セーフティーネットの拡充」っていうのは決して国家の歳入だけを頼りにやらなくてもNPOなどの市民社会活動をもうちょっとブーストかける政策でできないものかなと。詐欺や資金洗浄の温床になるようなアラが増えてはまずいけど、例えば企業に勤める人が副業で社会のセーフティネットになるようなNPO活動をしたらその収入は税金控除するとかさ。でもって、そうした社会貢献の副業を認めている企業は社員の活動実績に応じて何らかの税制優遇があるとかね。アメの設定の仕方次第で、民間企業なんてそれこそ利益がほしいわけだから機敏に動くと思うんだよね。

世代間対立は天唾。自分が70を過ぎた時に何を望めるんだろうか
#「どんなに詰めが甘くても議論の輪を広げることが重要だ。やるべきだと明らかになったことから、施策に落とし込む方法はいくらでもあるのだから」「長い目でみれば誰もが歳を取るのだから、老人批判なんか天に唾する行為でしかない」ですね。

 自分の仕事から目を背ける程度には興味深く追っかけることが出来た。この手の議論に終わりはないと思うのでまた興味深い反応を見つけたら都度追記をすることにして、いったん昼飯でも食うか。ああ、仕事を午後に寄せてしまったのは失敗だが、読みふけってしまったものは仕方がない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です