Androidのアップグレード問題について。
パソコンのようにハードウェアのアーキテクチャが基本的に同じで、共通Biosのようなレイヤーもしっかりとあるものと比べ、スマートフォンの場合は、それぞれのハードウェアも大きく異なっているし、共通Biosのようなものも存在しない。それに加え、差別化の難しいAndroid端末の場合、ぎりぎりまでにコストを削る必要もあり、それも「バージョンアップとともに大きくなる」OSのアップグレードを難しくしている。
Androidのアップグレード問題に関してひとこと(2011-02-03 Life is beautiful)
まったく作り手としても大変な状況だが、しかし仕事抜きにして考えると、発展していくまさに現在進行形に逐一立ち会えるというのは、国民機全盛の時代から一人はぐれてIBM/PCの進化に付き合ってきた身としては、なんだか楽しくもある。
Androidって、見方によっては、ネット上で完結できない初のGoogle製品なわけで、つまりベータ版戦略が通用しない初のGoogle製品といっても良いような気もする。
今までのGoogleみたいに、多少機能が荒削りでも、とにかく公開して使わせて、ネット上だろうがクライアントPC上だろうが、ガンガンアップグレードして、いつのまにか日常的に使う道具にしてしまうという作戦が、超ローコストでできないと。
と言いながら、実際はこのバージョンアップ速度はベータ版戦略だよなと。パワープレイで押し切ってるけど、通常の関係だったらメーカーから苦情でまくりですよね。まだ手を出したくないという意見も、もっともな意見である。
Googleのことだから、きっと今後はOS自体もモジュールごとにネットを絡めて管理して自動アップグレードとか、そういう仕組みを考えているような気もしなくもない。といってもH/Wオリエンテッドなところはどっちみちメーカー担当者がアタマを痛め続けることになるんだろうけど!
悲しいかな、選択肢のない日本メーカーはAndroidに行くしかない。Android様のバージョンアップに翻弄されながら、ガラパゴス・スマホの開発に必死とか、何かもう悲壮感が漂ってるね。ただ国内に限って言えば、ICカードはこの上なく便利であるが。
OSという中枢を「持ってない」というのはほんとに痛いねえ・・・日本勢。TRONがなあ・・・TRONが
しかし、こう考えてみると、MicrosoftとIntelが作り出した「Windowsパソコン」というプラットフォーム・ビジネスの成功が実はものすごく例外的なものだったんではないかとつくづく思えて来る。デバイス上のプラットフォームの標準化という試みは、Windows以外にも、MSX、 Windows CE、3DO、OS/2、J2ME/MIDP、BREW、Symbiam、などさまざまなものが試みられて来たが、Windowsほどの互換性の高さとビジネス規模を達成した例は他にない。今の状況を見る限り、AndroidはWindowsよりはJ2ME/MIDPと同じ道を歩いている様に思える。
Androidのアップグレード問題に関してひとこと(2011-02-03 Life is beautiful)
これって、Wintelがスゴイというのもあるけど、H/W仕様をオープンに保ち続けたIBMと互換機の規格関係者がもっと偉大だったような気もする。
そもそも、Windowsだって95よりも前の状況はあまり褒められた状況ではなかった。IBM互換機の規格が何となくいい感じにまとまってきて、さらにインターネットが勃興し始めた絶好のタイミングに、それまでのWindows3.1から機能もUIも大幅リニューアルされたWindows95が登場した。思い起こせば、あれは絶好のタイミングで、最高の商品を投入できた当時のMicrosoftが「持っていた」のだろうと思う。今でも、Windows95のUIは非常に良く出来たものだった。
またNT系列と95系列の並行展開は、RedHatがFedoraで最新技術を試して、RHELにフィードバックするというサイクルに似ている。この並行展開もうまく事が進んだ要因のように思える。(あくまで外野から評論すれば、だけど)
しかしまあ、何はともあれ、自分の結論としては、Androidに暫く付き合ってみることにしている。
「完成された美」みたいなものを感じる(まあ実際は完成されていないところもあるわけだが、少なくともコンセプトデザインや、道具としての完成度は美しい)Appleと比べると、発展途上にあるガチャガチャな感じが、割と好きだ。
とは言え、やっぱりiPhoneも「今後アプリ開発とかあるかも知れないから」とか勝手に理由つけて、会社の金で買っちゃおうかなと画策している今日この頃。母艦も持ってないんで、開発しようなんて考えちゃうとAppleへの年貢が高くつきそうだが。