業務用ソフトの共通化へ、経産省が年内に協議会(2007年5月19日22時38分 読売新聞)
経済産業省は、携帯電話に組み込んだり、顧客情報の管理などに使ったりする業務用ソフトウエアへの投資効率化に向けて、業界ごとにソフトの基礎部分を共通化するための協議会を年内に設立する方針を明らかにした。
コスト削減と同時に競争力の強化を狙う。
経産省の研究会が、21日にとりまとめる報告書で提案する。自動車の制御、ゲームソフト、工場の生産管理システムなども対象とする予定だ。報告書案によると、業務用ソフトの開発は現在、携帯電話や自動車では1件当たり100億円単位の投資となることも多い。しかし、日本企業は「自前主義」が強く、開発費用が欧米に比べ割高だ。
一人の技術者が開発可能なソフトの機能は、日本は平均で年間約270個だが、業界ごとにソフトの共通化が進んでいる米国では約590個で、生産性に2倍以上の開きがある。
記事の信憑性は不明だし、報告書の内容というのも実際読んでみないと分からないけど、一国の技術者の平均生産性ってどうやって計ったんでしょうね?しかも日米で比較してるってことは同じ基準で何かしら調査でもしたんでしょうか?
仮に生産性の差が本当だとしても、いまさら官主導で「共通化」って一体・・・「シグマ計画」が頓挫したのがよっぽど悔しかったのかも知れない。もしくは、官僚とは、基本的にこうした「理想を紙に書くと下々が勝手に働いてその通りになる」みたいなことを繰り返す人種なのか。
#幸い、自分はシグマ計画の直接ダメージは受けていないが、先輩などのなかにはだいぶやられた人もいて、よく昔話をされる
自分の意見としては、日米の生産性は確かに差があると思う。が、それは機能を年間で何個つくれるか、とかそんなのではなくて、1つの機能部品で、どれくらいのリターンを得るか、っていう部分での差じゃないかと思っている。
部品を作ることが主体ではなくて、使われることが主体。いかにたくさんの人に使われる部品をつくれるか。さらに本質的には、いかに人の作った優れた部品で素早く自分のアイデアを実現して、ビジネスを立ち上げるか、みたいな。
言語の違いからくる、市場規模の差というのも大きいと思っている。同じような部品を作ったとして、ドキュメントやコミュニティなどの言語の問題から、日本の部品は概ね日本でしか使われないけど、米国製は世界中の英語圏で使われる。そのまた逆も然り。世界中で作られた「英語ドキュメントで、英語のコミュニティで開発が進められている」部品が、言語圏で言えば日本語のおよそ15~20倍(*1)の市場を流通しているんだ。(だからだと思うけど、自分の知っているGeekは英語が使える人が極めて多い)
*1・・・Wikipediaによれば、英語は「母語として:約3億8000万人 第二言語として:約6億人 外国語として:10億人以上」の人が使っている
もうひとつ、日本の場合、自分が今までみてきた限りでは、ソフトウェアを作ることそのもの、それ自体がいつもプロジェクトの目的になってしまう。かつ、ユーザも「自分たちの業務のやり方を標準化できるところがあるのに、おかまいなしに独自に設計すること」がいかに無駄なコストを生んでいるか、わりと無頓着である。
あと、部品にしろ何にしろ、出自が重要だ。インターネットに公開されている部品は、エスタブリッシュな企業においては、どこの馬の骨だか牛の骨だか分からない怪しいもの、として認識されている。
二言目には、「品質の担保は誰がしてくれるのですか?」って、そんなの、名の通ったメーカー製でも、本質的には誰も担保できないよ。
というわけで、いくらなんでも、これはうまくいかないと思うぞ。国がやることはなんでも反対というわけではないが、ただいま絶賛行進中の、日の丸検索エンジン・・・じゃなくて情報大後悔・・・じゃなくて情報大航海プロジェクトといい、今回の話といい、現代のソフトウェア進化の環境をわかってなさすぎ。
業務用ソフトの共通化、情報大後悔、そして早くもISDNの二の舞とささやかれ始めたNGNとあわせて、「国家レベル・デスマーチ・プロジェクト三兄弟」に、勝手に認定!
で、批判で終わるのも何なので、アイデアを。
- 今ある出来のよい部品やソフトウェアが英語圏でビジネス展開できるような支援をしてください。多言語ポーティングに補助金出して、売れたら恩返しさせるとか(お金じゃなくて、ノウハウを出させるとか)
- 単純に、技術者の英語習得に補助金だしてください。英語圏で何かしら活躍するのが条件。英語圏向けソフトウェアつくったり、向こうの優れたソフトウェアの紹介させたり、じっさいに、留学したり。
- 日本だと大企業のなかに優れた人材が縛り付けられていることも多い。そこで、裁判員制度よろしく、国が強制的に指定してベンチャー起業させる!
- どうせお金をバラマクなら、政令指定レベルの都市からも、国際空港からも近くて、自然の多いところに、理工系の大学や専門学校を誘致し、さらに格安の住居や事務所もつくり、インターネットとデータセンターを無料開放するような特区でも作ったら?ゼネコンは公共工事激減で困ってんだし、渡りに船でしょ!シムシティ並に我慢して面倒見つづければ、日本版シリコンバレーができるかもよ?
ベタなのしか思いつかなかった。でもそんなベタな意見でも書きたくなっちゃうくらい、元ネタがナンセンス!