イトウ アスカ blog 2007年5月17日 「プログラマーの次のキャリアパスがSEだとばかり考えている人はプログラミングをなめている」
結構ある話ですが、プログラマーはキャリアをつむとSEになるということがよくあります。そのSEってなんなのかイマイチ判然としなかったりもするのですが、少なくともプログラマーが下でSEが上というのはあらゆる面(職場の立場、給料)で言えることは間違いないです。
ドキっとするなあ。「SEとは何ぞや?」
たぶん、ソフトウェア開発業界の根深いテーマである。自分の知る限りでも、似たような状況。なぜプログラマは「いわゆるSE」と比較して冷遇されがちなんだろうか?
ここから先の話は自分の経験にもとづく話である。
よって、世の中一般に通じる話かどうかはわからない。しかしながら、概ね心当たりのある人は多いと思う。
極端な話、数々のPMをやって、多くの「人の使い方による失敗」を経験した立場から言うと、月に200万円出しても使いたいプログラマはいるし、20万円/月ですら払いたくないSEもいる。(まあ究極的にはビタ一文払いたくないケースもままあるわけだが)
そもそも、「上流工程」を行う役割になればなるほど高くなる理屈も、つきつめて良く考えていくとおかしい気がする。
要件の内容によっては、50万円/月のSEがやる仕事だって、300万円/月のプログラマがやる仕事だって、もっと言えば、30万円/月のコンサルがやる仕事だって、あるんじゃないの?
つまり、発注者が抱えている課題(要件)がどんな種類・範囲・水準・内容であるか、によって、必要なスキルや担ってほしい役割は変わってくるはずだし、必要スキルや必要役割によって、コンサル、SE、プログラマといった職種に関わらず、価値が変わってくるはずだ。
しかしながら、現実には、「7月からSE5名、9月からPG10名」といったレベルの技術者募集がまかり通っている。
何の仕事なのか、何をしてほしいのか、どういう条件なのか、予算はいくらなのか、発注者が提示し、その条件にあった候補者を集め、実際に会って話すことにより真偽を確かめる、それが普通なのだが、なぜかそうなっていないことが多いのである。
原因の1つは、慢性的な人材不足というのが影響していると考えている。募集の時点でいろいろ細かい条件を提示してしまうと、応募の間口が狭くなる。必然的に、人の集まり方が悪くなる。
このあたりは、「明日の自分を創る」でふれた人月ビジネスという悪しき形態がまねく悲劇の1つだろう。
もう1つの原因として、昨今、発注時には必ず3社以上に声をかけるだとか、そんな慣習が大手になればなるほど暗黙裡に実施されている。2次請、3次請は当たり前のITゼネコンピラミッドにおいて、階段上にいる各プレイヤーがそれぞれ3社に依頼を出したとすると、末端においては20社以上に声がかかっていることもある。
この結果、著しい量の仕事の引き合い情報が市場をかけまわる。結果、「仕事の依頼”だけ”は黙っていても腐るほど来る」という状況が生まれる。そして、1つ1つの依頼に対する力の入れ具合、期待度は相対的に低くなり、候補者探しのための営みは限りなく省力化・短絡化され、やっつけ仕事になっていく。
こうしたことが積み重なって、結果として「7月からSE5名、9月からPG10名」といったレベルの話が蔓延する。
結局のところ、人月ビジネスという「ぬるま湯」に漬かっていること、および1つ1つの取引依頼への対応を「やっつけ仕事」にしてしまっている我々の姿勢が、問題解決をできなくしてしまっているのだろうと痛感する。