TV放送の録画を、昨日やっと観戦。
分裂し混迷していたバスケ界を川淵さんの豪腕で統合して創設したリーグ初年度としては、上手くいったのではないかと思うし、今後も期待できる。その象徴のような試合であった。
田臥選手、時代もキャラも違うけど、Jリーグのカズと被るね。リーグ創設の顔であり近年の日本バスケ界を支えた功労者が落ち着くところに落ち着いた。 >> Bリーグ王者、栃木支えた田臥のプロ意識と地域密着(日刊スポーツ) – Y!ニュース https://t.co/1WTjFyrCln
— Yoshiyuki Ookawara (@y_ookawara) 2017年5月28日
良かった点を自分なりにあげてみる。
- 試合内容そのもの・・・お互いにミスが目立つようなことはなかったし、接戦かつシーソー気味の得点経過であった。バスケットボールは野球やサッカーよりも点を取り合うペースが速いので、接戦になると観ていてダレることがない(もちろん大差がつくとつまらなくなるし、接戦でもお互いにシュートミスばかりしている試合だとつまらない)。流石にファイナルに来るチームだけに、シュートは上手いしディフェンスも上手い。チームカラーが好対照(川崎:オフェンス強、栃木:ディフェンス強)であったのも、長所短所を攻め合う意図がはっきりしていて良かった。
- ファン(ブースター)の応援・・・こちらもファイナルに来るようなチームなので両チームともブースターは多いのだが、特に栃木は、まさに地域密着が功を奏したこともあって地元を中心に熱狂的なファンが多い。クラブチーム経営のロールモデルのひとつであると言える(栃木人気の理由は田臥選手の功績も大きいのだが)。ファイナルの試合でも、観客席のかなりの面積が、両チームカラーのTシャツを着ているファンで埋まっていた。画面で観ていても現地の応援の楽しさが伝わってきて、次はたとえ自分の応援するチームが出場しなくても観戦に行きたいと思わせた。
- 会場のライティングとコートデザイン・・・開幕戦は世界初のLEDコートというものを用意して度肝を抜いたわけだが、純粋に観戦の視点で言うと(そしておそらくプレーする選手の視点で言っても)それほど観やすいものではなかった。このファイナルでは、コートはリーグカラーのモノトーンでカラーリングされており見た目と観やすさが両立されていて良かった。また開幕戦でもそうであったが会場全体のライティングを暗めに落としてコート上のみ明るめに設定しており、今までの日本のバスケでありがちな照明過剰の「体育館でやってます」感がなく良かった。
- TV中継のクオリティ・・・BリーグのTV中継はフジテレビが力を入れていて、開幕戦もフジテレビであった。まず実況の青嶋達也アナが良かった。ボリュウムを抑え気味にして、あまりバスケットボールを知らない視聴者のためにルールの説明や、各選手の過去の試合における活躍などをバランス良く織り交ぜていた。また中でも感心したのが「ここでこのプレーを選択したのは何故か」「この選手交代はどういう意図か」ということを良いタイミングで解説の方にふって解説を促していた。視聴者の裾野拡大や、視聴者が面白さを深められるようにしようという意図が明確で、好感が持てた。また少し地味な観点としては、これはBリーグ側の指定なのかも知れないが、画面に出す得点表示などスーパーのデザイン(特にフォント)が、視認しやすいし見た目も今風で格好良い。あと最後に重要な話として、バスケのことに興味がなさそうなタレント(特に某アイドル事務所とか)のゲストブッキングやショウ等がなかったことも非常に良かった。
次に、今後に期待したい点。
- ファイナルの複数試合化・・・NBAファイナルも7戦あることだし、せめて3戦で2勝とかにしてもいいような気がする。まあ1発勝負っていうのも緊迫感やプレミアムがついてこれはこれで良いのだが。もう少しリーグ全体の人気が高まって複数試合でも観客が埋まりそうなら、是非。
- 地上波TV中継増・・・視聴率が取れないとか、野球ですらやらなくなったのに、とか、スポナビライブ契約しろよ、とか色々あると思うが、やはり裾野拡大には地上波TVの力は絶大である。録画文化を見越して、深夜枠などをBリーグが買って各試合のダイジェストをやるとか、何か工夫はできないものか。
- TV中継時の解説表示の高度化・・・例えばスロー再生時に、解説の方がマーカーで画面上に印をしながら解説できるとか、エリア別シュート成功位置の表示ができるとか、NBA中継を参考に、TVならではの付加価値をつけていってほしい。
- 1万人規模の専用アリーナを・・・またハコ物を作るのかといった批判的な意見があるのは重々承知しているが、それでもやはりブースターの多い強豪チームであれば尚更、アリーナは持つべきだ。プロ野球で例えると、福岡ソフトバンクホークスのように、スタジアムを自治体などから借りるのではなく球団が持つことによって、スタジアムの広告収益、飲食やグッズ等の小売販売収益、他興行者への貸し出し収益などが見込める。ホークスは親会社である孫さんの会社からジャブジャブお金がつぎ込まれていると勘違いをしている人が非常に多いが、スタジアムを事業に組み込んだおかげで、かなりの黒字を球団単体で叩きだしている(スタジアムを買う金は孫さんが出したわけだが、ランニングコストを負担しているわけではない)。プロ野球の人気球団と、創設されたばかりのバスケットボールチームを比較するには事業規模やプロスポーツとしての歴史的経緯などが全く違うということも分かるが、大事なのはプロチームの事業にスタジアム運営やその収益を最大化して組み込めるようにすることだ。リーグ創設時に川淵さんが言った「夢のアリーナですよ。体育館ではない」という言葉を、早く具体的に実現するチームが現れてほしい。
そう、アリーナですよ。体育館ではない。プロスポーツなんだから。極限までエンタメ性を追求してグッズから飲食から売りまくる。これが正しいプロの姿。 >> 川淵会長「常識にとらわれるな」Bリーグ36クラブ代表者決起会 – スポーツナビ https://t.co/QkmkdZ07mm
— Yoshiyuki Ookawara (@y_ookawara) 2016年6月18日
自治体頼みの一本足作戦は無理がある。一部のプロ野球チームやプロサッカーチームのようにアリーナ自体で儲かる仕組みを計画して、自治体主導ではなく営利事業として進めないと厳しい。 >> B2ライセンス不交付に関して – 東京エクセレンス https://t.co/55uhgfC3Ld
— Yoshiyuki Ookawara (@y_ookawara) 2017年4月5日
板橋区と小豆沢体育館には悪いが自分は「アリーナ」でバスケが観たい。ちゃんとしたプロ用の箱がないと客は増えない。 >> 「キャパ不足」ただそれだけで降格。板橋区よ、Bリーグよ、それでいいのか? | 板橋区議会議員 中妻じょうた https://t.co/0Gvwn9cdtA
— Yoshiyuki Ookawara (@y_ookawara) 2017年4月6日
言いたいことはあるがリーグの対応は正しい。良いチームである東京EXがどう再起するかがリーグ全体の発展にも分水嶺になるだろう。 >> ホーム会場狭すぎて降格 バスケ東京EX、試練の再出発(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース https://t.co/cvz5zdimMr
— Yoshiyuki Ookawara (@y_ookawara) 2017年4月26日
あと最後にいちバスケファンの素朴な希望として、ダンクシュートできそうなときはどんどんいってほしいね。そりゃNBAとは選手の体格や身体能力も違うし、プレーにおいて何を重視するのかも違うので、単純な話ではないのは分かるのだが、やっぱり分かりやすい派手なプレーを、特に外国人だけではなく日本人選手がどんどんやってくれると、観ていて楽しいし、ファンの裾野がもっと広がると思う。