米Microsoftがついに,バイナリ形式のOffice文書仕様を公開(2008年2月18日 ITpro)
米Microsoftは2月16日(米国時間),Office 97以降で採用するバイナリ形式のOffice文書仕様を公開した。拡張子が「.doc」「.xls」「.ppt」であるOffice文書を,同社の新フォーマット「Open XML」に変換することを目的とした技術情報公開である。同社で相互運用性を担当するBrian Jones氏によれば,Open XMLをISO(国際標準化機構)標準にするうえで,複数の国の標準化団体から既存のバイナリ形式についても開示するよう求められたことが,公開の理由であるとしている。
Open XMLのISO標準化に関しては,今月下旬からスイス・ジュネーブで開催されるISOの会合で,最終的な結論が出る見込み(関連記事:顧客が支持しているのは「Open XML」,ISO標準化にも自信--MSの標準化担当幹部)。Microsoftとしては,会合に先立ってバイナリ形式のOffice文書仕様も公開することで,Open XMLのISO標準化を確実にする意図もある。
バイナリ形式のOffice文書仕様は,Microsoftの仕様公開プログラム「Microsoft Open Specification Promise」に則って無償で公開されており,MicrosoftのWebサイトから自由にダウンロードできる。サードパーティはこれまで,バイナリ形式のOffice文書を開いたり編集する機能を製品に実装する際,独自に文書仕様を解析するなどしていた。Microsoftが文書仕様を公開したことで,バイナリ形式のOffice文書を扱う機能の実装が容易になる。この情報に基づいて機能を実装しても,ロイヤリティなどは一切発生しない。
またMicrosoftでは,バイナリ形式のOffice文書をOpen XMLに変換するプロジェクトを,オープン・ソース・ソフトウエア開発の支援サイトである「SourceForge」で公開して,他組織と共同開発するほか,ソフトウエアそのものをBerkeley Software Distribution(BSD)ライセンスのオープン・ソースとして公開する(SourceForgeにおける同プロジェクトのページ)。
既にOffice2007ではXML形式の新ファイルフォーマットに移行し、晴れてバイナリ形式の.docとか.xlsはレガシー化したってことで、この動きはまったくもって自然かつ正しいと思う。
これでMSがOffice2003以前のサポートを切り捨てても、既にドキュメント界のCOBOLと化している旧形式Office文書の救済はオープンソースコミュニティに託されるわけで、結果としてMSは資源を最新バージョンに集中できる。老獪な。
で、個人的にMSには、Visioも忘れずに、と言いたい。