乗降客数世界一を誇る新宿駅の臨時案内表示における、知られざる「おもてなし」の心。最初は誰に命令されたわけでもなく「乗換客が困らないように」と工事警備員さんが始めたそうな。This is 「心」だね。
なにせ相手はリアルに百万人規模の、目的を持った忙しい人たちだ。コーヒー片手にネットサーフィンしてフラフラと訪問してきたユーザとは、わけが違う。瞬時にユーザの目的を満足するには、見やすさ、わかりやすさが最重要である。
アニメーションもない。奇抜なレイアウトもない。そこに要求されるのは、ただひたすらに実用性のみ。しかし遊び心やこだわりも忘れない。
これは、我々システム屋のUIデザインに通ずるものがある。
この案内表示を作成した人は新宿から日暮里に異動したそうな。で、日暮里でもフツーに請け負ってるらしい。日暮里版は映像最後にチラと出てくるが、もはやアートの世界に突入している。
映像、音声、構成、編集もよい。製作者のトリオフォーは、結構有名な集団みたいですね。
ガムテープによる独特なフォント「修悦体」(2007年07月18日 スラッシュドットジャパン)
でもこのトリオフォーがいわゆる「素人」だと仮定すると、製作者も出演者も全て素人、そして映像配信はタダ。
YouTubeをテレビ局があれほど嫌がったのも無理はないな。
テレビ局は、システム屋と似た構造を感じる。市場の支配者に薄利でこき使われている制作者達が、こぞって重層下請ピラミッドから離れて、独自に映像作品を作り始めたら、そしてそれを収益還元できるモデルができたら・・・
例えば、米国の音楽アーティストであるプリンスは、自アルバムは無料で配布&配信し、ライブにきてもらってそこで稼ぐモデルにシフトしている。
それに習って、何らかの有料イベント企画開催か。なかなか収入安定は難しそうだ。
はたまた、タダで配信するコンテンツに何らかのプレミアムをつけて販売するか。タダのコンテンツと有料のコンテンツをそもそもわけるという手もあるが、それはそれができるだけのコンテンツを持っている必要がある。
いずれにせよ大手に飲み込まれたりしたらつまらないので、こうしたインディペンデント的なクリエイター達にはぜひ収益をあげてもらって、続けてもらいたい。
ピンバック: 歌え!だらリーマン