孤狼の血 LEVEL2

投稿者: | 2021年8月22日

孤狼の血 LEVEL2 公式HP

 前作「孤狼の血」が素晴らしかったのでコロナ騒動がまだまだ続くなか映画館で鑑賞。感想としては予想通り前作越えとはいかなかったが、おそらく今後製作されるであろう真の続編への「つなぎ」としてはありだなと思った。

 物語としては前作の出来(というか、主に役所広司)があまりにも良すぎたため、超えるのは最初からハードルが高い。加えて本作は原作小説の1作目と2作目の間に位置するオリジナルストーリーである。だから、極端に振り切っちゃえみたいな。コロナのストレスも作風に影響してるような気がする。「何もかんもぶっ壊れりゃええんじゃ!」路線で好き放題やりたかったんだろうね。
 まあおそらく原作小説ファンとか、前作の何とも言えない余韻のある人間ドラマを堪能したかった向きには、評価は芳しくないのだろう。

 まず鈴木亮平演じる上林。全編通じてサイコっぷりが全開で、キャラとしては殆ど漫画。
 やくざというよりはただの異常者ですわ。いちおう生い立ちとか服役中の境遇とか、そうなっちゃう背景っぽいエピソードはちょこちょこあるけど、立ち回りとしての深みはない。しかしこれはきっと意図通りなのだろう。であるならば個人的にはさらにもっと振り切ってもらって、大虐殺というか、警察官とか一般市民含めて手当たり次第ぶちまわす的な感じがほしかったところ。
 なんというか、評判通り演技レベルは非常に高いんだけど、あの好青年「鈴木亮平が演じる」悪役なんだよね。あーきっとここでこの人やられちゃうんだよねーが想定内。表情や台詞回し含めた迫力は凄いんだけど、人間って、2時間の経過のなかでは、慣れるじゃないですか。
 唯一、ラスト近辺で、は?なんしよん?はあるんだけど、脈絡が全くないのでお化け屋敷的な驚きはあれど感情的には微妙。「たいぎいんじゃわりゃー!」は伏線張るのが面倒だったからもうここでやっちゃえ、という制作側の心の叫びに聞こえてしまう。

 そして松坂桃李演じる日岡。前作ラストで仄めかした大上刑事の後継者としてのキャラクターを鈴木亮平に負けじと格好良く演じているのだが、こちらもあくまで「アウトローby松坂桃李」の枠内ではある。彼は前作のように、凡庸な善人に潜む狂気が発現する、みたいな豹変を演じるのがいちばん活きる気がするね。前作のラスト近辺の演技は本当に神がかっていたと思う。

 ほかキャスト。滝藤賢一と、相棒刑事夫婦の演技が安定のいぶし銀だったことと、西野七瀬が違和感であったこと以外は普通。西野七瀬かわいいですよ。流川にいたら少なくとも週1で通うくらいには。でも個人的には前作の真木よう子レベルを期待していただけにね。斎藤工も平成初期っぽさがなく現代風すぎたかなあ。

 あと大事なポイントとしては、ピエール瀧がドラッグ問題で出演できないってのが痛いよね。白石監督も好んで起用していただけに、無念でしょうね。

 とりあえず希望としては、ぜひ原作2作目3作目の製作を。松坂桃李演じる日岡はなんだかんだでまだもっと観たい。小生、彼の父親レベルのおっさんだけど、格好いいもん。

 本作ラストは原作2作目に繋がる描き方をしているのでおそらく続編は鉄板だとは思うが、特に原作3作目は大上刑事パートもあることだし、期待。ヒットしたことでいろんな俳優が出演希望しているだろうから色々悩ましいだろうけど、個人的な希望としては、千鳥の大悟と吉川晃司のキャスティングを何としてもお願いしたいところ。ネイティブ方言の臨場感を堪能したい。あと多分無理だろうけど有吉弘行。ぜったい良い味出すと思うんだけどね。

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