SEやプログラマを少人数で派遣してしまうと、改善や計測のノウハウが誰にもたまらなくなってしまうことが多いことが指摘されていた。個人的な経験からも、あまり分業せずに一通りの仕事を一度やってみることはスキルや知識を積み重ねていく上で重要だと思っている。また、モチベーションの面でも同様なことがいえるのではないかと思う。
開発者の人材派遣の話とモチベーション(2007年08月14日 森崎修司の「どうやってはかるの?」)
なるほど同じような悩みを持つ人はたくさんいますね。この悩みは業界における構造的な問題であると再認識。こと日本では永遠の課題なのかも知れない。(海外は知りません)
ただ実際、自分の経験にあてはめると、派遣という形態も、用法を間違わなければ、そして運がよければ、ノウハウ蓄積手段としてさほど悪者でもないこともある。
- 派遣先によっては自社ではとてもできないような恵まれた環境で仕事ができることもある。例えば、自社ではとても触ることのできないようなインフラ設備や、自社ではとても協業などできないようなレベルの高い取引先との協業、など
- 派遣先で信頼を得れば、より重要な決定事項に関われる機会もあり得る。究極的には、例えば開発企画とか、予算配分検討とか、仕事の源を自らコントロールすることも可能(但しこれは、派遣先の上司が大変素晴らしい方であったために、派遣技術者である自分が本来関われないようなところまでやらせてもらった特殊ケースなのかも知れない)
- 請負開発によって「ある工程からある工程まで」をぶった切られた状態として仕事を分解されると、全体像が把握しづらい状態となり、開発という「部分」しか経験できない。企画段階で何がおこるのか、運用フェーズで何がおこるのか、そしてその対処や解決はどのように行うのか、など(運用は場合によっては開発と同じく請け負うことも可能だが、企画段階というのはほぼ派遣形態じゃないと関わることができない)
- 派遣先の「異文化」に触れることで、自社の文化の良いところ、悪いところを客観的に見ることができる(自社のほうが良いところが少なくて失望しちゃう危険もあるけど。他人の芝は青い!)
こうして自己整理してみると、ある程度プログラミングも設計も経験して、ヒューマンスキルの基本を学んだ段階で派遣されたからこそ、そしてその派遣先の上司の考え方が柔軟であったからこそ、派遣のメリットを享受できたということなのであって、恵まれたケースだったとは思う。
確かに、経験の幅が乏しい若手を派遣に出してそれっきり数年、なんてことになると自社にノウハウをためられる可能性は少ない。
その一方で、派遣先の環境で自社では経験し得ない経験を積んで帰ってくれば、どんな状況で働いていたとしても少しくらいは後で実務に活かせるノウハウを身につけている(上手くいかなかった反省も次への改善につなげることが出来ればノウハウ足りえる)と思うし、そういう考えで仕事をしていない、させていないとすれば、それは契約形態の問題というよりも、その会社の人材育成に対する考え方や直属上司の問題でもあると思う。(あとは、あまりそこに逃げたくないけど、本人の意識や資質)
というわけで「人材派遣を続けるとノウハウがたまらない」大局的には同意。
ただ、そこに問題を帰結させる前に、派遣なりのメリット極大化デメリット極小化を考え実践したか、という視点も必要だし、自分の周囲にいる派遣中心の会社のなかにはあんまりそういうことを考えずにローリスクローリターンな派遣形態に自分から流れていきながら「派遣はだめだね」なんて言ってる人達も結構な数いるよ、ということで。
といいながら具体的にはどうなのよ?という部分はもやもやしている。
あと森崎さんの提起されている「営業的観点」ってやつから離れてしまった。
日をおいてもう一回考えてみます。
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