「情報サービス産業に明日がなくても構わない from 雑種路線でいこう by mkusunok(2007.5.13)」

情報サービス産業に対しては,人月単価ベースのビジネスモデルがいけない,エンジニアを使い捨てている,高い単価でオフショアとどう戦うのか,とかいろいろなことがいわれているし,どっかに活路がないものかなとここ数年いろいろ調べたりもしたのだけれども,最近ふと別に情報サービス産業に明日がなくても構わないじゃないか,と考えるようになった.

 う、痛いところを突かれまくり。

 自分が今まさに「人月単価のビジネスモデル」を数百名規模で実践する仕事をやってるだけに。

 ここでいう情報サービス産業って、どっからどこまで?という漠然とした疑問は感じるものの、それはさておいて、その情報サービス産業っていう概念のなかにきっと含まれているであろう我々の商売が、人月という単位を媒介してしか商取引を語れない状態にあるとしたら、それはやっぱり問題なんだろう。

 これは、つまるところ、顧客と我々の距離感、立ち位置の問題なんだろうか。

 我々は、あくまで顧客のビジネスプロジェクトにおける一要素でしかなかったシステム開発というものを、独立した仕事・プロジェクトにしてブラックボックス化することによって、そこから利益を搾り取っている。

 そして顧客自身も「コンピュータは訳の分からない難しいもの」として思考停止状態になり、本来は顧客自身が考えるべき領域までまとめて、あるいは酷いときには、ビジネス目的すら満足に考えきらずに、目的そのものをシステム化にすり替え、我々に丸投げしてきた。

 こういったことが、少なくとも数年前までは、幅を利かせてきた(少なくとも自分の周りでは)。

 しかし多くの人が気づいているように、インターネット、オープンソース、Web、SaaSといった一連の潮流が、我々に「丸投げ」しなくても顧客自身がITを活用していける状況を創り上げた。

 ビジネスという「目的」と、システム開発という「手段」の隙間は、昔と違って、もう殆ど塞がっているのに、それに気づいていない(ふりをしている)顧客と我々。そして、強引に隙間を作っていくための道具として人月ビジネスというものが使われているのではあるまいか?

 単純に、人月を増やす方向にシステム屋のインセンティブが働くことも問題だ。無駄な機能を増やすことに(お金さえ確保できれば)あまり罪悪を感じない。そして、人月の差額で儲けるために、人材コストを削る。

 新技術の習得やスキルアップなどの生産性向上の結果として工数削減ならばまだよいのだろうが、技術者の質を落とすっていうのは、仕事の完成品質を落とすことのみならず、出来ない技術者が「だましだまし仕事をもらって食っていける」状況を作ってしまうことにつながり、問題だ。

 うーん、まとまらなくなってきた。とにかく、会社も個人も、立ち位置を改める必要があるような気はする。少なくとも、目指す立ち位置としては、

  1. より顧客側へ:ITを駆使した、ビジネス自体の立ち上げ、運営、拡大、に寄与できるような能力(コンサル+企画+開発+事業化)をつける
  2. より我々自身側へ:あくまで道具屋として生き、しかし、より使いやすい道具創りにいそしむ
  3. 新たなプレイヤーへ:自身でサービスを立ち上げ、運営する
  4. モラトリアム:そうは言ってもすぐには変われないし暫くは現状維持改善で頑張る

 というようなパターンが考えられる。

 会社という単位で考えたら「新たなプレイヤーへ」っていうのは一番選ばれる確率が低そうだけど、個人で考えたら、やっぱりmkusunokさんがいっているように「新たなプレイヤーへ」っていうのが楽しそうだ。
 または現実を考えると「より顧客側へ」か。

 結局は、なかにいる人のそれぞれが選択した結果として、今の状況がある。

 だから、状況を変えるには1人1人がそれぞれの制約のなかで「新たなプレイヤー」を目指し、そのうちそうした人達のなかから出てくる成功者達が、主要なロールモデル(収入面なども含めて)として認知されれば、徐々に変わっていくだろう。

 技術者個人と、ビジネスをしようとしている人(顧客)が、一致するか、限りなく近い位置でコミュニケーションをとれるようになれば、人月ビジネスに隠れて結果的に成果以上のコストを食ってしまう人材の淘汰にもつながるのではないか。

 というわけで、最後は「要は中間のオブラートおよび搾取をやめるべし」的な凡庸な話になったけど、稚拙ながら、自らその状態を目指して日々前進する次第。