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(原作漫画Kindle版)

 スーパーメガヒット中の「君の名は。」は未鑑賞だが、こちらもだいぶ話題になっているので、今更ながら。
 後半、すすり泣く観客の方があちこちに。自分はそこまではいかずとも、心に刺さる良い映画であった。

 まず映像と音。絵を描くのが好きな主人公なのだが、その主人公が見た景色を絵本や絵画のように実際の情景に混ぜ合わせるアニメならではの映像表現が素晴らしい。そして音も、静から動の切り替えの妙か、そもそも音自体が良いのか、臨場感がすごい。空襲のシーンは正直なところほんとにビビる。

 つぎに演出。これがこの映画のキモだと思うのだが、なんて言うか、湿度と温度がまさに「普通」なのである。「ほらここが泣き所ですよ」的な演出はなく、登場人物も個性豊かではあるものの、不自然に熱かったり冷たかったりはしない。また戦争を描く映画だと、人々の戦う場面はもとより悲鳴とか怒号とか憤怒の応酬みたいなものが少なからず描かれることが多いわけだが、この映画はいわゆるそういう分かりやすい演出は極めて少ない。だからかえって感情移入しちゃう。

 あとこの映画の話題のひとつである声優「のん」さん、ネット上の皆さんの評価通り、まさにハマり役だね。この声優があってこそ、この映画がここまで仕上がったと言える。

 エンドロールを観ながら、ふと思ったことは、これは現代の「まんが日本昔話」なのかも知れないなと。日常の泣き笑いと、この映画の場合は戦争という非日常を、淡々と描きつつ、変なイデオロギーや教条を押しつけるわけでもなく話はいったん終わるんだけど、心にはずっと引っかかって、じわじわと深まる感じ。自分の行動や判断の基準のひとつに、じんわりと組み込まれていく感じ。
 画風とか絵の動かし方もちょっと似てるしね。

 小学生くらいのお子さんがいたら、たとえ本人がすべてを理解できなくても一緒に観たら良いと思う。少なくとも、学校の教科書が教える戦争よりは、ずっと深く刺さるだろう。