情報の文明学、お布施理論、そして技術者達よ自立し成長していこう

投稿者: | 2007年4月16日

情報の文明学 (中公文庫)

 アマゾンアソシエイトの実験がてら、今まで読んだ本の感想を書いてみる、と思ったらそこから結局は自分のいる業界の悩み(愚痴か?)カミングアウトになる。

 まず本の内容は、1962年に著者が発表した論文「情報産業論」をベースに、放送業に関する考察、情報産業時代の価格決定論理、五感の産業化、「第三の波」との対比、などの論説をまとめたものである。

 すごいと思うのは、1960年代に書かれた本なのに、現代を予見するような記述が多々見られること。

 「広告宣伝がまず根幹にあって、それに応じて、それに合うようにモノをつくってゆくという時代がくる」という記述などはまさに現代に通ずる。

 さて、ここからが本のなかのキーワードから連想してしまった悩みというか愚痴。

 情報産業時代の価格決定論理で「お布施理論」というのが展開されているが、これはまさにいま自分が従事している受託(或いは技術者派遣による)ソフトウェア開発の仕事についての価格決定論理に近いものがあるな~と感じている。

 派遣の場合は特に、技術者の質よりも会社の力関係というか、単にネームバリューで決まることも多いし。

 最近、偽装請負の問題やらで、2次派遣、3次派遣などは基本的に撤廃され、請負や業務委託の方向に進んでいるが、基本的にプライマリベンダから見て「臭いものにフタをした」だけな気もするので、会社の力関係(というか主従関係)と対価の問題は続くだろう。

 派遣の世界では、酷いときは、違う会社から同じメンバが候補者としてあがってきたりする。そして提示されるお金が異なってたり。「おお、B社め、さては派手に上乗せしてるな」なんて。

 会社という存在が、技術者にたかってチューチューあがりを吸っている構造になってしまっている。

 これってなんか上手く改善する方法はないのだろうか。

 理想論かも知れないけど、もしかすると、会社ではなくて、技術者のスキルや実績、そして対価に関しての一元化された市場みたいなものがあるといいのかも知れない。

 そして当面の現実解としては、ひとりひとりの技術者自身が、より良い仕事や環境、より高い成長を自ら求めて、会社を移るなり独立するなりのリスクをとっていくしかないのかも知れない。

 そうやって「個」として世の中に挑んだとき、初めて自分につけられる世間の価値というものを痛感するのだろうけど、それはそれで、いま世の中に必要とされている技術は何なのか、今自分が得意としている技術の価値はどれくらいなのか、それを理解し、価値の高い技術を身につけていく原動力にもつながるだろうきっと。

 そんなときに、仕事や人に関する横の情報交換を出来るサイトがあると心強いが…結局はMIXIなのか?イヤ、もう少しコアな情報まで交換できるサイトがきっと必要だろうなあ。

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